ARCHICADで実践!自宅改修プロジェクトのBIM活用と在宅勤務の工夫

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建築設計の分野では、近年BIM(Building Information Modeling)の重要性が急速に高まっています。図面だけでなく情報そのものを一元的に扱えるBIMは、これからの設計プロセスに欠かせない技術です。

私はゼネコンの建築工事部に所属しており、設計部や現場をサポートする立場として2019年にARCHICADを導入しました。実務の中で試行錯誤しながらその機能を深く理解してきた経験を、本記事で具体的な事例を交えてご紹介します。


ARCHICAD導入の背景と理由

当時、私が直面していたのは2D CADによる設計ミスや、図面同士の整合性維持にかかる時間的負担でした。プロジェクトが複雑になるほど業務の非効率が顕在化し、限界を感じていました。

複数のBIMソフトを比較検討した結果、ARCHICADの採用を決断した主な理由は次の3点です。

  • 建築意匠に特化した直感的なUIと豊富なオブジェクトライブラリ
  • レイヤーという概念に基づく、モデリングの作成
  • 初期段階からモデルによる迅速な視覚化を可能にする「デザイン流動性」

これらは、設計プロセス全体の見通しや精度を高める上で大きな要因となりました。


独学でスタートしたBIMの習得プロセス

社内でARCHICADを導入したのは私が初めてだったため、導入初期は完全に独学で学びました。YouTube動画やブログ記事、Graphisoftの公式ドキュメントを活用しながら、BIMの基礎から操作まで段階的に理解を深めました。

最初の取り組みは、実際に進行中だったプロジェクトの設計図をベースに、構造、外装、仕上げ、外構までモデリングしていく作業でした。3D化によって、各構成要素の理解が深まり、単なる図面作成では得られない設計上の問題点も浮かび上がりました。


ARCHICADが変えた日々の業務フロー

ARCHICAD導入によって、最も変化を感じたのは「設計変更の反映スピード」です。モデルに変更を加えると、すべての関連図面に自動で反映されるため、修正作業の手間やヒューマンエラーが激減しました。

加えて、オブジェクトライブラリやMorphツールの活用により、表現の幅が大きく広がり、短時間でプレゼン資料を作成できるようになりました。複数案の比較や提案も迅速に行えるため、クライアントとのやり取りもスムーズに。

また、テンプレートを整備することで、業務の標準化と属人化の防止にもつながりました。作業効率の底上げとチーム全体の作業品質向上にも大きく貢献しています。


プロジェクトで得た実感と課題

実際のプロジェクトでは、BIMxを活用したプレゼンテーションが特に効果的でした。3Dモデルによって空間のイメージが共有しやすく、図面では伝わりにくい情報も直感的に理解してもらうことができました。

ただし、構造設計や設備設計に関しては、ARCHICAD単体では機能が限定的な部分もあります。こうした点は、Revitや他の専用ソフトと連携することで補完が可能です。ARCHICADはあくまで意匠設計に強みを持ったツールであり、用途に応じてソフトを使い分ける柔軟さも重要だと感じました。


アップデートで進化し続けるARCHICAD

私が導入したのはARCHICAD 23でしたが、その後毎年のバージョンアップで機能は大きく進化しています。

  • ARCHICAD 24:MEPモデラー統合、PARAM-O導入、ダークモード対応

  • ARCHICAD 25:手すり・階段ツール強化、断面図でのテクスチャ表示

  • ARCHICAD 26〜28:設計オプション、距離ガイド、Keynotes、クラウド連携

これらのアップデートによって、設計者の視点に立った操作性や、社外連携・共有のしやすさが飛躍的に向上しました。


BIMを扱うための基本姿勢

BIMを活用する上で重要なのは、「一気に完璧を目指さないこと」です。最初は小規模なプロジェクトや、プレゼン用のモデルからでも十分です。実際に手を動かしながら、自分に合った使い方を見つけるのが近道です。

テンプレートの整備、属性設定のルール化、社内マニュアルの作成など、BIM環境の構築も効率化の鍵となります。チーム全体で知識を共有しながら進めることで、属人化を防ぎ、業務全体の質が高まっていきます。


今後の発信予定

この記事では、ARCHICAD導入の背景や活用経験について主にご紹介しましたが、今後は以下のような内容も随時アップデートしていきます。

  • ARCHICADの機能詳細とおすすめ活用法

  • 使用しているPCスペックの紹介

  • ICT技術(ドローン撮影、クラウド共有など)の実務活用事例

  • 他ソフト(Rebro、SketchUp、Twinmotionなど)との具体的な連携手法

実務で役立つ情報をリアルにお届けし、同じようにBIM導入を検討している方々の一助となれば幸いです。


おわりに

ARCHICADの導入は、私の建築設計・施工業務を根本から変える大きな転機でした。作業のスピード、正確性、提案力が飛躍的に向上し、クライアントとのコミュニケーションも格段にスムーズになりました。

設計者としての視野が広がったことで、より創造的かつ柔軟に業務へ向き合えるようになり、日々のモチベーションにもつながっています。

BIMやARCHICADの導入に迷っている方がいれば、私の経験が少しでも参考になれば幸いです。今後も進化する技術を柔軟に取り入れながら、より良い設計環境を目指していきたいと思います。

   

 

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