はじめに
建築設計において、リアルな材質表現はプレゼンや実施設計の説得力を高める重要な要素です。近年は建材メーカーが公式サイトで壁紙・床材・天井材などのテクスチャデータを公開しており、これらをARCHICADに取り込むことで効率的かつ高精度な設計表現が可能になります。本記事では、メーカー材質データの取り込み方を解説するとともに、実例として「ジプトーン455×910」の無料材質データも配布します。
材質データを用意する
各建材メーカーの公式サイトでは、壁紙・床材・タイルなどの材質データ(テクスチャ画像)が公開されています。これらをダウンロードしてARCHICADに取り込むことで、実際の製品に近い質感を設計データに反映できます。
ダウンロードできる主な画像の種類
建材メーカーの公式サイト(例:サンゲツ公式ダウンロードページ)では、壁紙や床材の材質データをまとめて入手できます。主に以下の種類の画像が用意されています。
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施工例画像:実際の仕上がりイメージを確認できる
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チップ画像:素材そのものを拡大したサンプル
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タイル1枚画像:1枚ごとのパターンを確認できる
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タイルの組み合わせ画像:複数枚を並べた仕上がりを確認できる
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リピート画像:壁紙やカーペットの連続模様を表現できる
こうしたデータを活用することで、パースやVR表示でのリアルさが格段に向上します。
サンプル画像
メーカーが公開している材質データには、以下のような種類があります。
メーカー公式サイトのダウンロード画面例
公式サイトでは、壁紙や床材ごとにテクスチャデータがまとめてダウンロードできるようになっています。
施工例画像・チップ画像・タイル画像・リピート画像の例
タイル1枚画像・組み合わせ画像など、用途に応じたデータが用意されています
ライブラリマネージャーで材質データを取り込む準備と手順
ARCHICADに外部材質データを使えるようにするには、ライブラリマネージャーでフォルダを作成し、そこにデータを登録していきます。以下の流れで進めます。
まず、メニューバーから 「ファイル → ライブラリとオブジェクト → ライブラリマネージャー」 を選択し、ライブラリマネージャーを開きます。

次に、左側のプルダウンで 「埋め込みライブラリ」 を選択し、画面下部の「新規フォルダ作成」アイコンをクリックします。フォルダ名は分かりやすく「タイルカーペット」などに設定し、「作成」 を押して追加します。

続いて、「新しいファイルを追加」アイコンをクリックし、ダウンロードした材質データ(JPEGやPNG画像など)を選択します。取り込まれたデータは右上に表示されます。
最後に、下部の 「再ロードと適用」 をクリックし、「OK」 を押して確定します。これで材質データの取り込み準備が完了し、ARCHICAD内で使用できる状態になります。

ARCHICADに取り込んで活用する
ライブラリに登録した材質データを、実際にARCHICADの材質設定で使えるようにします。
材質設定を開く
「オプション → 属性設定 → 材質」を選択。
またはツールバーの刷毛アイコンから材質設定を開きます。
既存材質を複製・材質名を変更
床材カテゴリから「カーペット」を選択。
下部の「複製」ボタンで新しい材質を作成。

似た材質を複写すれば、反射率とか設定がそのまま
使用できます。
複製した材質に分かりやすい名前を付けます。
例:「タイルカーペット(グレー500×500)」
テクスチャ画像を差し替え
「画像を参照」アイコンをクリックし、登録した材質画像を選択します。
画像を追加
材質画像を選択
取り込んだ材質画像を選び「開く」をクリック。
ライブラリから選択完了
埋め込みライブラリ内の画像を選択し「OK」で確定。
テクスチャサイズと色を設定
表面カラーを材質に近い色に変更。
サイズを入力(例:500×500mm)。
レンダリング設定を変更
エンジン設定を「Cineware and Redshift by Maxon」に変更。
CineRender設定を更新し、「OK」で確定。
これで新しい材質がARCHICADに反映され、モデリング・レンダリングに活用できるようになります。
実務での活用例
実際のプロジェクトでは、取り込んだ材質データを用途に応じて設定し、内観や仕上げ検討に活用できます。ここでは「グレーのタイルカーペット(1枚材質)」と「緑のタイルカーペット(4枚チドリ配置材質)」の実践例を紹介します。
グレーのタイルカーペット(1枚材質)
まず、グレーのタイルカーペットを1枚単位で設定した材質です。サイズを500×500に設定し、単純な敷き詰めパターンとして表現します。床一面が均一な仕上げとなり、シンプルで落ち着いた空間を表現できます。
緑のタイルカーペット(4枚チドリ配置材質)
次に、緑のタイルカーペットを4枚組み合わせてチドリ状に配置した材質です。この場合、1枚が500×500のタイルであるため、4枚分で1000×1000として設定します。サンプル画像を用いることで、実際の張り方向やデザインを忠実に再現できます。
まとめ
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1枚材質はシンプルな空間表現に最適。
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複数枚チドリ材質はデザイン性やリアリティを高めたい場合に有効。
用途に応じて材質の設定を工夫することで、プレゼン資料やレンダリングの説得力を大きく向上させることができます。
ARCHICADで使える天井化粧石膏ボード(ジプトーン455×910)材質データ無料配布
はじめに
天井仕上げ材としてよく使われる「ジプトーン」。学校や事務所などでも多用される定番の化粧石膏ボードです。今回はそのテクスチャデータ(455×910mm)をARCHICAD用に加工し、無料で配布します。
ダウンロードデータについて
今回配布するのは以下の画像データです。
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ジプトーン455×910(チドリ張り対応)
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JPG形式(実寸スケール材質設定必要)

材質設定で
縦を1820、横を910にしてください
📥 ダウンロードはこちら
ZIP に含まれるファイル:ジプトーン455×910(JPG形式・チドリ張り対応)
✅ ZIP を解凍 → ARCHICAD の「ライブラリマネージャ」で追加するだけ!
まとめ
メーカー公式の材質データをARCHICADに取り込むことで、表現力と実用性の両方が大きく向上します。ライブラリマネージャで整理して管理し、材質設定で正しいスケールとレンダリング設定を行うことがポイントです。さらに実務では、1枚材質と複数枚パターンを使い分けることで、よりリアルなプレゼンが可能になります。今回配布したジプトーン材質も加えれば、床・壁・天井の仕上げをトータルで表現でき、設計提案や施工検討の精度を高められます。