使用環境のはじまり:一般的なノートPCからの挑戦
私がARCHICADを使い始めたのは2019年10月のことでした。当時使用していたのは、ごく一般的なノートパソコンで、グラフィックボードも搭載されていないものでした。そのため、通常のARCHICADの操作も時間がかかり、特にレンダリング作業には非常に時間がかかり、特に最高画質での出力には12時間以上を要することもありました。帰宅前にレンダリング作成を開始し、一晩レンダリング作業をPCにさせましたが、翌朝出社しても出来上がっていませんでした。
当時は、効率的に作業できる環境とは言えませんでしたが、それでも少しずつ操作に慣れながら、試行錯誤を重ねてARCHICADの基本操作からレンダリングの設定に至るまで、独学で知識を深めていきました。失敗も多く、思い通りの表現ができないこともしばしばありましたが、それら一つひとつの失敗が学びに変わり、着実にスキルとして身についていったのです。
その後、業務の効率や品質向上のために会社へ高スペックなPCの導入を提案し、無事に最新のマシンが導入されました。これにより作業スピードが格段に向上し、より高品質なパース作成や設計検討が行えるようになりました。BIMを活用するうえで必要なPCスペックや周辺機器の選定についての情報も、今後は記事や資料として整理し、共有していく予定です。
ARCHICADでのパース作成【レンダリング】 :自宅改修工事でのパース作成による妻へのプレゼンテーション
業務で扱った案件は守秘義務の関係上公開できませんが、2年前に実施した自宅改修工事では、ARCHICADの持つポテンシャルを最大限に活用しました。特に印象に残っているのは、1階のリビングルームに隣接していた和室を解体し、在宅勤務に対応したワークスペースへと大胆にリノベーションした点です。
当初の計画段階では、「家の中で仕事も生活も快適に行える空間とは何か」というテーマのもと、空間の用途や家具の配置、照明の方向性まで幅広く検討しました。1階という家族の生活の中心に業務空間を組み込むにあたり、単なる物理的な配置だけでなく、心理的な距離感やプライバシーの確保も考慮する必要がありました。
ARCHICADの3Dモデリングにてレンダリング機能を使って、レイアウト案を複数パターン作成し、生活空間とワークスペース(私専用のスペース)意識した空間構成を事前に検証しました。パースと動画を使い、妻へのプレゼンテーションを行いました。
この工事は自宅の改修工事のため、企画、設計、見積もり、施工管理に至るまで、すべての工程を私一人で担当しました。
実際に作成したパース(ARCHICAD レンダリング機能) の紹介
以下に、ARCHICADで作成した自宅改修に関するレンダリングパースをいくつかご紹介します。これらのパースは設計検討だけでなく、家族とのコミュニケーションやイメージ共有のために非常に有効でした。
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和室の解体とワークスペースの新設:生活と仕事の動線、家具の配置計画を考慮した空間構成。照明の配置や床材の質感、壁面の色味まで具体的に表現。

ビフォーアフターのパースだよ、こんな感じです。
【 改修前 平面パース】
【 改修後 平面パース】
【 改修後 断面パース(昼・夜)】
このようなパースは、設計者としてだけでなく、施主として自分の希望を具現化するためにも非常に役立ちました。特に、パースや動画は、完成後の空間イメージを妻に分かりやすく伝えるためのプレゼン資料とし活用しました。
後になって妻からクレームが出ないよう、細部まで丁寧に表現するよう心がけました。どこに何が配置され、どのように動けるのか、どれほどの光が差し込むのかなど、図面だけでは伝えきれない感覚的な情報を視覚化することで、家族との意見のズレを未然に防ぐことができました。
結果的に、こうしたビジュアル資料は家族との円滑な意思共有を支えるツールとなり、設計段階から納得した上で空間づくりを進めることができました。完成後の満足度も非常に高く、「最初にパースを見ていたからイメージ通りだった」と言ってもらえたことは、非常に嬉しい瞬間でした。
