建築設計に欠かせないBIMソフト「ARCHICAD」を快適に動かすには、パソコンの性能が極めて重要です。この記事では、各パーツの役割をやさしく例えながら紹介し、実務でスムーズに使えるための推奨スペックを解説します。これからPCの購入や入れ替えを検討している方にとって、有益な情報となるはずです。
パソコンの中の主要パーツをイメージで理解しよう
ARCHICADを快適に動かすために重要な4つのパーツについて、それぞれの特徴を日常的なたとえを使って解説します。
CPU(中央演算処理装置)
CPUは「頭の良さ」にたとえられます。どのように図面を処理し、コマンドを実行するかを判断する中心的な役割を担っています。処理能力が高いほど、動作はキビキビして作業効率が向上します。
メモリ(RAM)
メモリは「作業机の広さ(作業スペース)」にたとえられます。机が広ければ複数の資料を同時に広げて作業できますが、狭いと片付けながら進める必要があります。ARCHICADでは複数の図面やモデルを同時に扱うため、広い作業スペース=十分なメモリが重要です。
グラフィックボード(GPU)
グラフィックボードは「腕力」にたとえられます。画面を滑らかに動かす力を担い、3Dモデルの回転や表示をストレスなく行えるかどうかは、GPUの性能に左右されます。
ストレージ(SSD)
ストレージは「収納棚・引き出し」のような役割です。設計データを保存しておき、必要なときにすばやく取り出せるかが重要です。SSDを使えば、読み書きが高速になり、作業の流れを止めずにスムーズに進められます。
このように、CPU・メモリ・GPU・ストレージの4つが連携して、快適な作業環境が整います。
ARCHICADに必要な基本スペックと選び方
ここからは、実務に十分耐えるための具体的なPCスペックについて解説します。
高速な処理を支えるCPU
ARCHICADでは、シングルスレッド性能が高いCPUが有利です。一般的に、CPUの処理能力は「世代」や「クロック数」、そして「ベンチマークスコア(例:PassMarkやCinebenchなど)」で判断されます。性能比較に便利なサイトとして「CPU性能比較サイト」があり、最新CPUのスコアや順位が視覚的にわかりやすく確認できます。特に世代が新しいほどアーキテクチャの改良により処理効率が向上しており、同じCore i7でも第8世代と第13世代では大きな性能差があります。操作のレスポンスやモデリングのスピードに大きく影響します。

注意:単純にIntel Core i7 が Intel Core i5優れているわけではありません。
世代が重要なります。CPU性能比較サイトをチェックして下さい。
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推奨スペック:Intel Core i7(第10世代以降)または AMD Ryzen 7(5000番台以降)
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最低スペック:Intel Core i5(第8世代以降)または AMD Ryzen 5(同等クラス)
できるだけ最新世代のCPUを選ぶことで、長期的な安定運用が可能になります。
スムーズな3D操作に必要なグラフィックボード(GPU)
ARCHICADの3D表示や、Twinmotionなどのレンダリングツールの使用にはGPU性能が重要です。
性能比較に便利なサイトとして GPU(グラフィックボード)性能比較表 があり、用途に応じたおすすめモデルやベンチマークスコアを簡単に確認できます。
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推奨スペック:NVIDIA GeForce RTX 3060以上 または NVIDIA Quadro P2200以上
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最低スペック:NVIDIA GTX 1650(VRAM 4GB以上)
VRやARとの連携を考えている場合は、VR Ready対応モデルを選ぶと安心です。
複数モデルを扱うためにメモリは多めに
同時に複数の図面やモデルを開いて作業することが多いため、メモリはできるだけ多く搭載しましょう。
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推奨スペック:32GB(中〜大規模プロジェクト対応)
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最低スペック:16GB(小規模プロジェクト向け)

私としては32GB以上をオススメした方が良いと思います。
デュアルチャネル対応であれば処理速度が向上し、増設しやすい構成がおすすめです。
ストレージはSSD一択
HDDでは読み書きが遅く、設計作業に支障が出るため、必ずSSDを選択しましょう。
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推奨スペック:NVMe SSD(512GB〜1TB)
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最低スペック:SATA SSD(256GB以上)

私の推奨は 512GB です
データ保存用に別ドライブを設けると、整理やバックアップも容易です。
作業空間を広げるモニター環境
画面が広ければ、同時に複数のビューや図面を確認できるため、作業効率が格段に上がります。
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推奨解像度:1920×1080(フルHD)以上
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推奨構成:デュアル(トリプル)モニター環境
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1920×1080(フルHD)あれば十分です。
それ以上を求める方は4Kをどうぞ。
PCモニターに採用されているパネルは、TN方式・VA方式・IPS方式の3種類です。TNパネルは応答速度が速く、高速で動く映像を滑らかに表示できるため、ゲーミング用途に適しています。
VAパネルはコントラスト比が高いのが特徴。引き締まった美しい映像が観られるので、映画や動画の視聴におすすめです。また、IPSパネルは視野角が広く、どの角度からでもきれいな映像が楽しめます。
画像や動画には“グレア加工”、長時間の作業には“ノングレア加工”がおすすめ

私はノングレア加工を使用しています。目が疲れにくいですよ。
グレア加工はテカテカなので反射もしやすいです。
モバイル用途でノートPCを選ぶ場合、スペックだけでなく冷却性能にも注意が必要です。排熱設計が甘いとサーマルスロットリングによって性能が低下することがあります。
冷却パッドの併用や冷却ファン性能の高いモデルを選びましょう。
OSはWindowsがベストチョイス
ARCHICADはmacOSにも対応していますが、業務用途ではWindowsのほうが安定しています。特に、BIMcloudやTwinmotionなど外部ツールとの互換性が高いため、Windowsが推奨されます。
まとめ:PC環境を整えてBIM業務を効率化しよう
ARCHICADをストレスなく活用するには、パソコン全体のバランスが重要です。
CPU=判断力、メモリ=作業スペース、GPU=表示能力、ストレージ=記憶容量と、それぞれが連携してはじめて、快適なBIM設計が実現します。
本記事を参考に、自分の業務に合ったパソコン環境を見直してみましょう。より良い設計環境が、あなたの創造力を支えてくれるはずです。