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【2025年度最新版】BIM補助金と建築GX・DX推進事業の制度解説と申請方法完全ガイド

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建築GX・DX推進事業とは何か?

建築GX・DX推進事業は、国土交通省が主導している建設業界向けの大規模な支援制度です。この制度は、脱炭素社会の実現という長期的な国策と、深刻化する労働力不足や業務の非効率性といった業界の課題を同時に解決するために生まれました。GX(グリーントランスフォーメーション)DX(デジタルトランスフォーメーション)【昨年度までのBIM補助金】の両方の視点から、現場の改善・変革を具体的に支援するのが本制度の目的です。

今年からGXの分野が追加されました。

GX領域では、ZEB(ゼロエネルギービル)の設計、省エネ建材の導入、再生可能エネルギーの活用、建設機械の電動化など、環境負荷を抑えるための取り組みが対象になります。一方でDX領域では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や電子黒板、遠隔臨場、ドローン測量、クラウド管理など、業務効率化や情報共有を加速させるデジタル技術が支援対象となります。

 

これらの取り組みを促進するための具体的な支援制度が「建築GX・DX補助金」です。とくにBIM導入に関しては、ソフト・ハードの導入から研修体制、人材育成、社内運用の整備までを一体で支援し、GX・DXの一体的推進に貢献する制度となっています。BIM推進事業補助金から建築GX・DX推進事業へ変更

これまでの「BIM推進事業補助金」は、2025年度より「建築GX・DX推進事業」へと統合され、新たな形でスタートしました。この変更により、単なるBIM導入支援だけではなく、GX(環境対応)やDX(デジタル化)全体を包含した補助制度へと再構成されています。

これに伴い、補助率はこれまでの最大2/3から原則1/2へと変更されましたが、一定の条件を満たすことで2/3の補助も継続して認められています。対象範囲の拡大により、企業ごとに必要な技術を選択・導入できる柔軟な制度設計となっており、長期的な経営戦略の中でのGX・DX対応が重視されるようになっています。

当社のBIM補助金活用実績

当社では、以下の通り複数年にわたりBIM導入に関する補助金を受給してきました:

  • 令和4~5年度代表事業者(当社)623万円、協力会社(機械設備工事業者)17万円

  • 令和5~6年度代表事業者(当社)904万円、協力会社 228万円

  • 令和6~7年度**(交付申請受理済)**:代表事業者(当社)395万円、協力会社 50万円

こんなに補助金を頂けました!

すべての補助金申請は、私自身が一人で制度を勉強しながら準備・申請・実施報告までを行いました。初期の戸惑いもありましたが、制度を活用することで社内のBIM活用体制が大きく前進し、実務での成果も見えてきています。

 

建築GX・DX推進事業の補助対象

GX(グリーントランスフォーメーション)関連

補助対象 内容
ZEB設計・高断熱建材 設計支援費、建材購入費、外注設計費、人件費、施工支援コストなど
再生可能エネルギー設備 太陽光・蓄電池・地中熱の設備購入費・設置費、外注費、人件費、設計・申請コストなど
省エネ型建設機械の導入 電動化・高効率化機材の購入費、試験導入支援費、オペレーター教育費、人件費など
LCA評価ツールの導入 評価ツール購入費、導入支援費、評価実施のための人件費、外部委託費など
 

DX(デジタルトランスフォーメーション)関連

補助対象 内容
BIM導入・活用 ソフトウェア・ハードウェアの購入費用、社内研修費、運用体制整備費、人件費、マニュアル作成費など
遠隔臨場・電子黒板の活用 関連機材購入費、操作研修費、人件費、外注支援費、運用整備費など
ドローン・3Dスキャナーの活用 機材購入費、操作講習費、運用支援、人件費、データ処理費、成果物作成費など
クラウドベースの図面・工程管理 クラウド利用料、初期設定・運用コンサル費、人件費、セキュリティ対策費、保守・管理費など

補助率は原則1/2ですが、認定支援事業者や共同事業者を含む場合や先進的な取組みに該当する場合などには最大2/3まで補助されます。中小企業や専門工事業者でも導入しやすい制度設計になっています。

(参考)国土交通省 建築GX・DX推進事業ページ リンク

 

補助金受給までの流れ

  1. GビズIDの取得

    • jGrantsによる電子申請にはGビズID(プライムまたはメンバー)が必要です。

    • 登録完了までに数週間かかる場合があるため、早期の準備が重要です。

  2. 代表事業者および事業者登録

    • 補助金申請を行うには代表事業者等としての登録が必須です。

    • 登録が完了した日以降の経費のみが補助対象となります。

    • 登録期間:令和7年4月1日〜12月末

  3. BIM活用事業者登録

    • BIM型を申請するには法人単位でのBIM事業者登録が必要です。

    • 登録期間:令和7年5月16日〜9月30日

  4. 交付申請

    • プロジェクトごとに交付申請を行います。

    • 新規:令和7年4月10日〜9月30日

    • 既存:令和7年7月1日〜9月30日

  5. 完了実績報告・補助金請求

    • 補助対象事業の完了後、実績報告書と証拠資料(図面、領収書、進捗記録など)を提出して補助金を請求します。

この一連の流れに沿って準備と申請を進めれば、比較的スムーズに補助金を受けることが可能です。特に新規申請では事前準備が重要であり、早めの着手が成功の鍵を握ります。

まとめ

BIM推進事業補助金は、2025年度から「建築GX・DX推進事業」へと進化し、環境とデジタル技術を融合した幅広い支援が可能な制度となりました。補助率は以前より引き下げられたものの、その分補助対象が拡大し、活用の柔軟性も増しています。

当社としてもこの制度を活用することで、社内のBIM体制整備を着実に進めることができ、業務の可視化・効率化、情報共有の質の向上といった実績を残すことができました。

なお、昨日、国土交通省から「追加申請の意向確認アンケート」が届いています。これは、今年度の残り予算がかなり限られてきていることを示唆するもので、制度を検討中の方は、早めの申請準備・判断が求められます。